洋画【めぐり逢い】『ゴシップガール』『めぐり逢えたら』にオマージュされたあの名作を観てみよう

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Woman’s おすすめポイント

映画会には、尊敬の意を表したオマージュという表現がありますが、オマージュされている映画を、実は観たことがないという人もいるのではないでしょうか?確かに元になっている映画を観ず内容を知らずとも、前後の流れから映画を楽しめることに間違いはありませんが、オマージュされたもともとの作品を知ることで、描かれていない部分の心情や背景がより分かることも事実です。自分が好きな作品の中にもとになている映画が登場するのであれば、そのもともとの名作も好みの作品である可能性は高いですよね。名作に愛される名作を知り、もっと映画の奥深くまで楽しんでみてはいかがでしょうか?

【ゴシップガール】【めぐり逢えたら】がオマージュする名作

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【めぐり逢い】がオマージュされた作品として、最近の作品にあるのが【ゴシップガール】。シーズン3のエピソード21【元夫たち、妻たち】では、チャックがブレアに、もし自分のもとへくる勇気が出せたなら、エンパイアステートビルに7時に来るようにと伝えるシーンがあります。ブレアはゴシップガールの中で映画好きのロマンチストな一面をもつ女性であり、チャックはブレアの好みをよく知った上で、ブレアが好きそうな方法でブレアの気持ちを知ろうとします。【めぐり逢い】がオマージュされているかいないかは、実際にブレアが台詞のなかで明確にしてくれています。

「めぐり逢い」のマネはやめて

【ゴシップガール シーズン3 エピソード21 ブレアのセリフ(字幕版日本語訳)】

【めぐり逢えたら】は、エンパイアステートビルでの待ち合わせをオマージュしているだけでなく、作中に【めぐり逢い】の具体的なあらすじが話されたり、【めぐり逢い】の映画を観ている主人公が何度も映し出されたりと、作中に多く登場するのが特徴的です。主人公とその友人が特に好きな映画として流れていることや、また別の女性も大好きな映画としてその思いを語るシーンがあることなどから、作者が【めぐり逢い】を愛していることがとても伝わってきました。邦題にも注目です。【めぐり逢い】は英語名では【An Affair to Remember】、【めぐり逢えたら】は【SLEEPLESS IN SEATTLE】と、洋題ではオマージュ感はないことから、邦題をつけた人が【めぐり逢えたら】が【めぐり逢い】のオマージュあるということを汲んで邦題をつけていると考えても過言ではなさそうです。

“古い映画=つまらない”じゃない!粋でお洒落で上品な名作!

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【めぐり逢い】の印象的なシーンである、エンパイアステートビルで半年後の7月1日の17時に待ち合わせという設定、なんとロマンチックなのでしょうか。N.Y.の一番高いビルですが、テリーの言葉を借りれば『天国に一番近い場所』での待ち合わせです。その表現もまた美しいのです。粋な演出は他にも、ニッキーの祖母に逢ったあとのテリーが夜のクルーズ船で泣いていたあとで、テリーとニッキーの”おそらく”キスシーンがあります。ここの演出はまさに粋。キスをしようとするニッキーに『Let’s walk.(歩かない?)』と言うテリーの台詞は、この作品では良く聞きます。周りの人間にはバレないように、と親密すぎる空気を避けるテリーゆえの台詞ですが、この時はその気持ちに勝る恋心に勝てなかったようです。バレたくないのは「周り=乗客」と思っていたら、私たち視聴者もだったのだなあと、一気に引き込まれて映画の一員にさせられます。ぜひ観てみて欲しい場面ですね。

最後のシーンの大どんでん返しも素晴らしいものでした。止めていた絵をまた描き始めたニッキーが、祖母とテリーがはじめて会って白いレースの肩掛けの話をしているところを絵に描いた、と久しぶりにあったテリーに話すシーンで、どうして自分たちが結ばれなかったかの全てを悟るシーン。本当の気持ちを隠し続けるテリーや、自尊心から同じく気持ちを隠すニッキーなど、キャラクターが奥ゆかしいのも然ることながら、物語自体の構成が奥ゆかしいのです。映像を作る上での高度な技術よりも、中身つまりストーリーで勝負するこの頃の映画からは、こうした粋な演出含め、人と人との深いコミュニケーションを肌で感じ学ぶこともたくさんあります。紳士淑女な振る舞いも多く、上品な出で立ちや立ち居振舞いはお手本として1つは観ておきたいものです。

定番ラブロマンスだけれど笑いもあってメリハリばっちり!

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王道なラブストーリーにもコメディタッチを忘れないのも【めぐり逢い】の良さでしょう。豪華客船でニッキーとテリーのカップルを乗客全員が見守るシーンでは、本人たちは上手く誤魔化せていると思っていても、周囲の人間は2人が恋仲になりそうなことを見て分かっている様子が滑稽に表されていたり、ニッキーとテリーが階段を使って、周りに関係を怪しまれないように会話をする際に、階段を下りてきたご婦人を「ハニー」と呼んでしまうニッキーのシーンがあったりと、くすりと笑えるシーンも豊富です。会話の1つ1つをとっても小さな皮肉な小さなジョークが入り混じったり、実にウィットに富んだ会話をしているのが印象的です。悲しい場面、切ない場面などもありながら、笑えるシーンを違和感なく入れているのは圧巻です。人と人とのコミュニケーションが深い時代の映画ですから、人と人との会話の言葉や動き1つ1つにこだわっているのでしょう。だからこそ会話や動きの延長線上で違和感なく笑えるシーンも作れるのかもしれません。CGや技術とはまた違う、人間味が溢れる人間が作る映画ならでは、といった感じがします。

デボラ・カーの美しさは永久不滅

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デボラ・カーはイギリスの女優で、1921年9月30日生まれのため、【めぐり逢い】公開1957年当時は36歳でした。今の時代は高度な美容技術なども増えて、より美しさを保つことができるようになりましたが、この時代にこの美貌は反則級だったに違いありません。ちなみに1957年というと、日本は昭和32年、まだカラーテレビにすらなっていない頃です。(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93)

この時代、オードリー・ヘプバーンなどでも有名ですが、ショートヘアの女優さんが多かったのでしょうか、デボラ・カーも全体的にパーマを充てた巻き髪を綺麗に形を整えています。この髪型がこんなに似合うのは、完璧なお顔立ちあってこそ。完璧に整った鼻筋と鼻先が美しく、目は程よく切れ長で、その目によく似合ったカーブがきつくない眉が、彼女のお顔をより知的で美しく見せているように思えます。この髪型に大振りのイヤリングがどの場面も良く似合っています。

着ているドレスや洋服も全てエレガントで、華やかなこの時代にも彼女の雰囲気にもピッタリでした。その中でも、ニッキーの祖母に逢いに行った時の白地にピンクのドットワンピースにつばの広い白い帽子を合わせていたときの姿は、ヴィルフランシュ=シュル=メールの美しい景色にも映える美しさでした。このシーンは作品の中でも特に印象的なシーンでもあり、ニッキーの祖母がテリーやニッキーと接する時の優しさや愛を感じられ、またチャペルでお祈りをするテリーの横顔を見つめるニッキーの顔から、ニッキーのテリーを思う気持ちも見て取れる注目のシーンです。

「自分で稼ぐ」「自立する」仕事をする”美しさ”を語る物語

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僕は自分で稼いだことがない

私もそのことかんがえてたの

【めぐり逢い】下船が近づく船の上でニッキーとテリーが語り合うシーン(字幕版日本語訳)

これまで、ニッキーはお金持ちの女性と恋仲になるなどしていたのでしょう。結果結婚相手と発表された女性も億万長者で、ニッキーは玉の輿に乗る予定でした。同じくテリーも、昔はラウンジで歌手をしていたところ、お金持ちの男性に声を掛けられてその男性に養われている状態です。2人が乗り合わせたクルーズ船も、それぞれのパートナーが用意してくれたのでしょう。そんな中で恋をした2人は、それぞれ自分たちの置かれている状況を考え、2人が一緒になるには何が必要なのか答えを導き出していたのでしょう。それゆえのこの台詞なのです。2人も、恋を実らせるためだけではなく、どこかで自分で自分の身を立てたいという気持ちは持っていたのでしょう。そして互いに相手に依存するのではなく、自分が相手の重荷にならぬよう、相手に苦しい思いをさせぬよう、と相手のことを思いやった挙句にこうした結論が出たことを思うと、「働く」ということも悪くないなと思えるのです。働かずに相手の用意したお金で過ごすことの虚無さを知っている2人だからこその決断だったのかもしれません。

Woman’s おまけポイント

corn fields under white clouds with blue sky during daytime
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華やかなクルーズ船、煌びやかなドレスにアクセサリー、上品な言葉遣いと立ち居振る舞いは、観ているだけで心が躍り、憧れの気持ちを抱かせます。時代が変わっても女性が美しさを求め、綺麗な住まいを持つことや、できるだけ良い暮らしを求める気持ちは変わりません。愛とお金は、よく天秤にかけられることがありますが、ここでは愛とお金どちらも選択する、とてもリアルな結論を観ることもできます。古い映画ではありますが、自分が得たい暮らしのために、やらなければいけないことを選択する強さを感じる、生きるための教科書にもなり得る物語です。

kato

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