洋画【恋愛適齢期】良く熟れた大人たちの手探りな恋愛にキュンとする大人のラブストーリー

person walking on beach during sunset ラブストーリー
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Woman’s おすすめポイント

男がいつの世も若い女が好きである、とは言い切ることはできないのかもしれませんが、年上の男性とお付き合いをする女性が多いのも事実。それは男性と女性のそれぞれが求めるものにあるのかもしれません。女性は大人の男性の余裕のある魅力を求め、男性はありのままの自分で居ても自ずとリードできる”歳の差”を使ってできる恋愛、つまり気軽な恋愛を求めているのです。けれどもそれは、本音なのでしょうか?同年代の恋愛は、ライフステージが同じなだけに比べられることもある中で、自分の弱みや欠点がより相手に見えてしまいがちです。でもそれすらも本当の意味で理解してくれる人との時間は居心地がいいはず。結局年齢はただの言い訳で、本気の愛が怖いだけなのです。

“単純”がキーワード

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男性はいくつになっても若い女性を好きであるということは、真偽はともかく良く耳にしますよね。では反対はどうでしょうか?女性が若い男性を好きであるということは、あまり聞きなれない気がしないでしょうか?むしろ、女性は年上の男性を好む傾向にあるということのほうが良く聞くような気がします。実際男性が自分より若い女性が好きなのであれば、女性が年上の男性が好きというのは、お互いに補填し合う関係なので成り立つ話なのです。女性はきっと年上の男性のいろいろな面での落ち着き(言動、暮らし、仕事など)に魅力を感じていますが、男性は果たしてどんな魅力を若い女性に感じているのでしょうか。【恋愛適齢期】のジャック・ニコルソン演じるハリーこそが、若い女性に対する魅力について冒頭でこう語っています。

若い娘がくれる 甘く単純な喜び 一瞬の若さの中に集約される魅力

まるで魔法の粉をかけるように どんな男も骨抜きにしてしまう

【恋愛適齢期】ハリーの冒頭でのナレーション(字幕版日本語訳より)

【恋愛適齢期】で大事にしているのがこの”単純”という言葉でしょう。男性はいつでも面倒くさいことが嫌いです。でもこれは悪い意味ではなく、いつも明るく楽しくNOT COMPLICATED(NOT面倒)にいきたいという素敵な思想です。しかし、同年代の女性もしくは年上の女性たちは、経験値が自分より上であったり、同じくらいのライフステージに生きているということもあったりで、”単純”な感情だけでの恋愛ができないこともしばしばあるのも事実。でも、”単純”を意識する者は、”込み入った”恋愛が、自分の全てを持っていかれるほどの素晴らしいものであることを知らないか、もしくは知っているからわざと避けているのです。若い子好きだったハリーも、自分の病気の事や年相応の悩みなどを全て理解してくれる、ダイアン・キートン演じるエリカのような女性に出会ってしまい、逃げたくなるほどに居心地が良かったことでしょう。

女同士の恋愛トークってチョー楽しい!

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ハリーの医者であるジュリアン・マーサー役のキアヌ・リーヴスが現れた時の女性たちの顔は、絵に描いたような乙女顔で面白いくらいでしたが、【恋愛適齢期】では、女性同士で繰り広げられる、恋を予感した者たちの表現が豊かで面白く観られるポイントの1つでもあります。フランシス・マクドーマンド演じるエリカの妹ゾーイは、さばさばした女性学を教える先生で、何事も冷静に事実として捉える傾向にある性格の持ち主です。それゆえに、姉エリカがなかなか表に出して言わないようなことも、あっけらかんと言えてしまい、ハリーのことも魅力的であると率直に感想を述べたり、ジュリアンがエリカに夢中であることもさらっと言及できてしまいます。

エリカの娘であるマリンは、若さもあり恋に対してキラキラワクワクしているといった印象で、自分以外の誰かに恋が舞い降りることですらも、喜々として興味を持つ女性です。エリカは一番お堅く、思いを内に秘めるタイプで、相手が自分に好意を寄せているかもと思っても知らないフリをしてしまうタイプです。ドクタージュリアンに対するゾーイ、マリン、エリカの3人が見せる3者3様の反応が、「分かるー!」となってしまうほどに”女子会”そのもので、楽しめること間違いなし!

お茶目な女性って可愛くて素敵!

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エリカがDr.ジュリアン・マーサーに食事に誘われた後で、目を三日月にしてくるりと楽し気に目玉を回して見せ、ジュリアンが襲いにおいかけてきたときの嬉しそうに逃げる感じ、ハリーと浜辺でワインとチェリーを食べてくつろいでいるときに爆笑している雰囲気、娘マリンがハリーと別れたこと告げエリカの背中を押し時のおちゃらけて見せる表情・・・全ての動作、表情1つ1つが可愛い~~~!となること間違いなしでしょう。大人だけれど、どこか少女のような無邪気さを持っているのがエリカです。

表情が素直なんですよね。楽しいときだけでなく悲しいときも素直。はじめてのハリーとのベッドシーン後に、部屋に戻るとハリーが言った時の表情は、相手の理解者でいたい反面、久しぶりに楽しめている関係を深めていきたい気持ちや、単純に一緒に居て欲しい気持ちなどが全て入り混じったような顔をしていてとても印象的でした。ただ、その後の心から嬉しそうな顔は、ハリーだけでなくすべての視聴者が心温まったことでしょう。ハリーの言葉は的確でした。若い女性好きのハリーですが、結局勇気がなかっただけで、魅力ある女性の元では骨抜きになるのです。

今までで君が一番愉快な相手だ

【恋愛適齢期】はじめてのベッドシーン後ハリーからエリカへの言葉 (字幕版日本語訳より)

君は愛すべき女だよ

【恋愛適齢期】共に起きた朝のハリーからエリカへの言葉 (字幕版日本語訳より)

お茶目な男性も素敵!

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ハリーもなかなかに人間味があるキャラクターでした。マリンの実家に初めて招かれたとき、不審者扱いされ通報されそうになっているにも関わらず、自虐をかましたり、明らかに自分への好意がないエリカに対しても、ギャグを飛ばしながら交流を試みようとしたりと、ふざけすぎないけれど堅すぎない感じが余裕を感じさせる人物でした。女性が年上の男性を好む理由の1つとして、余裕のある人を求めるからと上述していますが、これはハリーの個性と言えるかもしれません。ユーモアがあり余裕がある男性は、年齢にかかわらず魅力的に映るモノなのですね。エリカの家が停電したときに、おちゃらけて見せるハリーは、きっとマリンには見せない、エリカにだから見せることができた素の部分のような場面で、そんなお茶目さを持っているハリーだからこそ、いろんな女性に愛されたのかもしれないと思えるでしょう。

白い石ころと黒い石ころ。違っているから愛おしい。

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エリカは浜辺で綺麗な石ころを拾うのが大好きで、その熱中具合は家中にインテリアとして飾るほどです。それはハリーと出会う前から行っていたことなのですが、ハリーと出会うまでは無意識に白色の石ころばかりを集めていたエリカが、ハリーと出会って意識的に黒い石も拾うようになり、最終的には黒い石ばかりを詰めた瓶に、1つぽつんと白い石を添えてハリーにプレゼントをするシーンがあります。白い石は私で、黒い石は貴方、ともとれるこの演出からも分かるように、恋ってやっぱり年齢ではないんですよね。いろんな年月を経て丸く小さく削られた石ころの中で、自分が石ころを選ぶ時にはその色の美しさ、その形の個性などから選ぶでしょう。だれも年月なんて気にしないのです。でも、自分では選ばない石があるように、好みがあります。けれどその好みも、単にその良さを知らなかったからだけであって、好みを広げてくれる人こそまさに運命の相手なのかもしれません。まさにハリーはエリカにとってそんな存在であったから、今まで拾わなかった黒い石を拾うようになったのでしょう。どんな年齢であっても、誰かにとってその世界を広げる存在であることが大切なのかもしれません。

愛は苦しいもの。けれど何より代えがたい。

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劇作家であるエリカは、失恋による胸の痛みを怒涛の勢いで書き連ねていきます。そのときの様子は、辛い思いをした人たちがみんな、作家になれればいいのにと思うほどです。傷ついた心を知っている作家ほど優秀な作家はいないことでしょう。もはや傷ついた人は皆、優秀な作家の卵ですね。そんなエリカが娘マリンに話した台詞がジーンと来ます。

例え うまくいかなくても 愛から逃げちゃダメ

例え 傷ついても それが生きること

【恋愛適齢期】エリカが娘マリンに伝えた言葉 (字幕版日本語訳より)

ずっと男っ気の無かったエリカが失恋から得た教訓を娘に話すシーンです。ずっと恋愛から逃げていたエリカだからこそ、逃げ方の方向性は違えどなかなか本気の愛を試してみる勇気が湧かないマリンに贈り得た言葉なのでしょう。それゆえに共感の思いが止まりません。男性も女性も本物の愛は怖いのです。年齢を気にしてしまうのも、もしかしたら本当の愛に失敗したくないがゆえの方便に過ぎないのかもしれません。でも、苦しくなる未来が来ても、後悔はしない、そんな強さを感じられる言葉でした。

エリカの暮らしがお洒落過ぎる!

まずエリカの住まいが素敵すぎます。撮影は米国で最も効果な住宅地で知られるハンプトンズだったということですが、家までの道のりや、大きく豪華な作りの外観、白を基調としたインテリア、窓からの景色など、まさに最高!そんな住まいで夜中にパンケーキを作ったり、キャンドルを灯し赤ワインを飲みながら1つのフライパンから2人でショートパスタをつついたり、朝はコーヒーと最高のメープルシロップ付きのフレンチトーストを食べたりなんて、素敵すぎやしませんか。憧れの気持ちを掻き立てるシーンでもあります。

音楽も最高です。エリカのお洒落な雰囲気に合わせて、お洒落なムードが漂うBGMも楽しいのが【恋愛適齢期】。ハリーが家にいることになり、エリカがハリー宛の電話にイライラしながら執筆するシーンでのCharles TrenetのQue Reste T-il De Nos Amour、エリカの妹がジュリアンを連れてきたときのMaroon5のSunday Morning、エリカが泣きながら作品を執筆しているときのEartha KittのJe Cherche Un Homme、自分の人生がシナリオになっていると気づいたハリーがエリカに会いに行ったときのArmstrongのLa Via en Rose、パリで誕生祝いをしているエリカのシーンでのDiango ReinhardtのBrazil・・・。エリカがパリを舞台にした脚本を書いている設定ということもあり、パリや異国情緒が溢れるムーディーな曲も多くて、気持ちを作中へと誘ってくれます。

Woman’s おまけポイント

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【恋愛適齢期】はナンシー・メイヤーズが監督を務めている作品ですが、ナンシーが監督する作品の代表的なものとして【ホリデイ】や【マイ・インターン】などがあります。中でも【ホリデイ】は大人の女性に響くお洒落で大人なムードある落ち着いた映画で、そのロケーションやミュージックの雰囲気が似ているところがあります。ナンシーの作る世界観は、女性目線を盛り込みつつ、男性に対して攻撃的でない作品が多く、そういった意味からも成熟した作品である印象が強いですが、そのイメージに一役買っているのが、この2つの作品で音楽を担当するハンス・ジマーです。彼の創り出すミュージックは、軽快で楽し気だけど大人っぽい音色や、切なくて繊細だけれど暗すぎない、そんな音色がまさにナンシーワールドにマッチしているのです。そんな音とストーリーの織りなす世界観を楽しめる映画です。

kato

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