【コラム】女性が選ぶ非女子ジャンルの“イイ”映画②【グリーンブック】

コラム
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プロローグ

女性のモチベーションが上がるおすすめ映画を紹介しているWith Moviesですが、その枠を超えたくなる名作をご紹介するのがこの『非女子ジャンルの“イイ”映画』コラムです。第2弾でご紹介するのは【グリーンブック】。これまでWith Movies的映画を観てきた女子たちであれば、自分では手に取らない作品かもしれません。観て後悔しないどころか観ないと後悔する!と言い切れるほどの名作、【グリーンブック】を紹介してきましょう。

イイ映画の特徴3つが揃う映画

①教えてくれるものがあること

イイ映画には特徴があります。その1つ目が「教えてくれるものがあること」です。【グリーンブック】は黒人差別などを扱う、題材としてはディープな内容の映画でもあります。

しかし【グリーンブック】では誰にでも経験がある差別や仲間との確執やコンプレックスなど、身近なテーマを思い起こさせることで、大きなテーマがどこか遠いところ遠い時代で起きた他人事ではないことを伝えてくれます。

②映画の世界に連れて行ってくれる音楽

イイ映画の特徴の1つでもある“音楽”は、【グリーンブック】でも重要な役割を担っています。アフリカ系アメリカンたちの素晴らしい音楽センスと60年代頃の懐かしい時代が作り出すムードは、【グリーンブック】の魅力です。

カーステレオから流れる60年代当時の曲と黒人ピアニストのドクター・シャーリーのピアノ演奏で、作中では質の高い音楽が溢れているのも【グリーンブック】の特徴と言えるでしょう。

③世界観の美しさ

【グリーンブック】の時代である60年代頃のレトロな車や服や音楽や、ドライブ旅で進行していくストーリーの中ではご当地の食べ物や風景などが移るなど視聴者に憧れを抱かせる内容に溢れています。

ドクのファッションスタイルがお洒落なこと、南部のバーの雰囲気がいかにも地元のものらしいことなど、海外の文化好きにはたまらない映画でしょう。

生き方を考えさせてくれる映画

真面目なドクがやんちゃなトニーと仲良くなれた理由

【グリーンブック】では生き方、特に人間関係について考えさせてくれる映画でもあります。黒人と白人が区別されていた時代において、主人公のドクとトニーが関係性を築いていくのは難しく思えますが、自然なスピードで2人の関係性が作られていくまでの出来事や交わす言葉や表情には学ぶべきところが多くあります。

自分のスタンスを変えない2人

ドクは裕福な家庭に育ったアフリカ系アメリカンの真面目なキャラクター、トニーはイタリア系アメリカンでハッタリが上手く腕っぷしが強い少々がさつなキャラクターが、映画の序盤からすぐに見て取れます。

お互い自分の思った通りの発言をし好きなように過ごします。最初から自分のスタンスを無理に変えずにぶつかる2人だからこそ、最後に築けたのは本物の関係性だったのでしょう。

気持ちがいい人間関係が魅力

自分の言いたいことややりたいことを我慢して相手に合わせる人間関係と違い、初めから自分のスタンスを貫き通した2人だからこそ、お互いのスタンスを知るとそれが2人の関係性の面白みにつながっていきます。

加えてドクの天才的なピアノやトニーの上手なハッタリなどそれぞれの特技を互いが尊敬するようになるため正反対だった2人が確実に距離を縮めておりそこが【グリーンブック】の見どころでもあります。

誰もが一度は感じた気持ちを大きなテーマの中で見せる

誰かに仲間外れにされるということ

【グリーンブック】の時代は特にアメリカ南部で、黒人と白人を分ける習慣が続く時代で、天才黒人ピアニストとして活躍するドクでも、南部では袋叩きにされる可能性があったようです。

白人とは何も違うところがなくむしろ才能に秀でたドクでしたが、トリオとしてやっている他2人の白人とも共に過ごせずレストランや試着なども断られます。そんな細かい描写1つ1つが、ドクの心を揺さぶると同時に私たちの心も切ない気持ちにさせます。

大きなテーマの中にある身近なテーマ

ドクは他の誰ともの間に一線を引いて過ごしていました。はじめは運転手のトニーでさえ心を開いていたとは言えません。でもそれは黒人と白人という大きなテーマだけの問題ではなく、生立ちや性格などが全て含まれています。

しかし、ドクの閉じた心をがさつなアプローチで開けさせたトニーと、トニーのがさつさの中の真っ直ぐな気持ちを理解して心を開いていったドクは、いい意味で互いをただの人として見ることができているのが私たちの学ぶべきところなのかもしれません

60’s-80’sの音楽が魅力を引き立てる

映画の中で名前が出たアーティスト

私たち観る者を完全に映画の中に引き込むのは、60年代頃のソウルなミュージックでしょう。映画の中の時代とリンクする実際の60年代ソングが溢れる【グリーンブック】は、この良質な音楽が魅力です。中でもトニーがドンに教えているアーティスト名とその音楽は下記の通りです。

  • リトル・リチャード ”Lucille”
  • チャビー・チェッカー ”Slow Twistin’”
  • アレサ・フランクリン ”Won’tBe Long”

この3人に加えてサム・クックについてもトニーはドクに教えています。他にも2人が話している間のBGMとして数多くのこの時代を代表するソウルミュージックが流れており、【グリーンブック】は映画自体が“サントラ”とも言えるほどの耳に嬉しい映画です。

使われている曲は60年代のヒット曲

ドン・シャーリーのピアノ曲に加えて、【グリーンブック】では実際にこの時代に活躍したアーティストの曲がとても多く入っています。60年代アメリカの陽気でジャズ感もあるミュージックは、聞くだけでその当時にタイムスリップするかのような時代を彷彿とさせる力がある曲が多いようです。

旅する映画は心を躍らせる

南アメリカドライブが魅せる景色

【グリーンブック】でドクがツアーで訪れた町は下記の通りです。

ペンシルベニア州 ピッツバーグ
オハイオ
インディアナ州 ハノーヴァー
アイオワ州 シーダー・ラピッズ
ケンタッキー州 ルイビル
ノースカロライナ州 ローリー
テネシー州 メンフィス
アーカンソー州 リトルロック
ルイジアナ州 バトンルージュ
ミシシッピ州 テューペロ
ミシシッピ州 ジャクソン
アラバマ州 バーミングハム

④のアイオワ州に入る前にトニーが妻に宛てた手紙の文章に「もうすぐ南部だ」と書き記しており、④からがよりハードな旅であったと想像されます。しかし、アメリカの広大な大地に、そういったことには無頓着そうなトニーでさえ”この国がこんなに美しいとは今まで知らなかった”というほど、美しい景色が広がるドライブは、私たちをも楽しませてくれます。

レトロな車や雰囲気がある街並み

【グリーンブック】の時代は60年代ということもあり、車も当時に流行したシーマなどの型が多いなど大道具、小道具からも時代を感じ取れます。2人が行くバーやパブも時代が伝わる雰囲気で、かつアラバマ州のバーミングハムで2人が行くこととなった酒屋は、当時のアフリカ系アメリカン用ということもありセンスの高い音楽と皆が楽しそうにリズムに乗る様子を楽しむことができます。

隠れ“クリスマス映画”な【グリーンブック】

クリスマスにおすすめしたい理由

【グリーンブック】はクリスマスに観たい映画としてリストに入れておくべき名作かもしれません。ドクのツアーはクリスマスイブ直前までの8週間で行われる契約であったため、時折“クリスマス”のワードが出ることがあります。そのほか、【グリーンブック】をぜひクリスマスに観てほしい理由を2つまとめました。

心が温まる2人のシーン

【グリーンブック】がクリスマス映画だと言える理由は2つです。1つはハートフルであることでしょう。冒頭ではトニーはアフリカ系アメリカ人のことを差別の目で見ていることが分かります。そんなトニーと他人と一線を置くドクの間に、友情が芽生えるはずがないと誰もが思うはずです。

しかし最後にはお互いがお互いを友として見ていることが私たちにも伝わる雪道での運転のシーンやクリスマスディナーのシーンは、無償の愛を称えるクリスマス映画としてふさわしいシーンと言えるでしょう。

60年代の音楽が無償にクリスマス味がある

物語の終盤にはクリスマスが近づくこともありクリスマス音楽が流れますが、それ以外の場面で流れる60年代ソングにクリスマスの雰囲気を感じるのは、どこか懐かしく籠ったレコードのような音源とジャズのような曲調や使われている楽器の音が、伝統的なクリスマスソングに近いものがあるからかもしれません。

エピローグ

【グリーンブック】の魅力を端的に表すとするならば耳と心に心地よいビートをくれるハートフルなクリスマス映画でしょうか。とにかく絶対に築けないと思っていた2人が優しい友情を築けたことは、私たちにとっても救いにもなるでしょう。

そして作中のサウンドは【グリーンブック】のもう1つの魅力です。【グリーンブック】を観てこの時代のこのジャンルのサウンドにハマる人も出てくるかもしれませんね。

合わせて観たい映画はこちら!

【グリーンブック】を観たあなたにおすすめしたい映画をご紹介します。【ホリデイ】はクリスマスの映画繋がりで洋画を探す方におすすめです。【ヘルプ~心がつなぐストーリー~】はちょうど【グリーンブック】と同じ60年代のアメリカ南部が舞台の物語で、歴史を辿りたい方にもおすすめです。

KATO

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