洋画【世界一キライなあなたに】予想外のラストに驚く 複雑な思い駆け巡る切ない恋の映画

affection blur close up couple 号泣ストーリー
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Woman’sおすすめポイント

エミリア・クラーク演じるルーが、個性的でありながらも魅力的であることや、サム・クラフリン演じるウィルが、瞳の綺麗な好青年であることが、この物語をより一層ドラマティックにさせています。また、なんといってもこの物語の注目すべきはエンディング。どの物語においてもエンディングは、物語の印象を決める大切なシーンですが、このエンディングはどの切ない恋物語よりも複雑であり、私たちはルーの気持ちを一緒に追いかけるように、複雑な思いのまま見終えることになります。そのエンディングは私たちの本意ではないものでありながら、「助けたい」と願うルー側の気持ちだけを追いかけがちな私たちにとって、学ぶところの多い物語でもあるのです。エンディング手前では、手を差し伸べることは、結局意味のないことなのかもしれないと、一度は思ってしまいますが、見終えて思う確かなことは、誰かを「助けたい」「力になりたい」と強く思い行動することは、意味のあることであるということです。複雑だけれど心に響く、そんな切ない愛の物語です。

エミリア・クラークって誰?

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もしラブストーリーやヒューマンドラマ好きであれば、エミリア・クラークを知らないと思う方もいるかもしれません。2011年の海外ドラマ【ゲーム・オブ・スローンズ】で女王役や、2015年には、ターミネーターシリーズの【ターミネーター:新起動/ジェニシス】でサラ・コナー役を演じており、有名作品に次々に抜擢される女優の1人です。ただ、エミリアの主な出演映画を調べると、今回紹介する【世界一キライなあなたに】を含めて4,5本と控えめ。しかしそれもそのはずなのです。というのも、エミリアはまだ33歳の若手女優。しかし、にも関わらず、キャスティングの候補となったとされる作品を見れば、いかに注目の人物かが分かる作品ばかりです。(参照:https://www.cinemacafe.net/article/2019/12/04/64766.html)(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%AF

でも、彼女を見ればその人気の秘密は明らかです。そのキラキラした瞳はユーモラス、意志の強さ、愛嬌の全てを表現する力があります。【世界一キライなあなたに】では、田舎に住む洗練されていない女性を演じていますが、その「原石感」はエミリアにしか出せなかったことでしょう。また、この物語の肝でもある、優しさと真っ直ぐなところを持つ女性の表情や佇まいを、完璧なまでに表現しています。愛嬌があり自分らしさを楽しんでいる心優しい女性が、いかに魅力的であり、それはやがて愛を育むということを教えてくれるのです。

サム・クラフリンの魅力が伝わる

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サム・クラフリンも34歳と若手の俳優ですが、【パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉】、【スノーホワイト】、【ハンガー・ゲーム】、【あと1センチの恋】などが主な出演映画ということで、話題作にも多く出演している注目の俳優と言えるでしょう。(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%B3)今回の役柄は特に、単純に“イケメン”なだけでは務まらない役でしたが、サムは見事に演じています。垢ぬけた姿は然ることながら、心を閉ざし髭を蓄えた姿でさえも、サムの魅力を隠すことはできませんでした。

彼が持つ魅力は、少年のような瞳にあるのでしょう。完成された美しい大人の男性であるのは確かなことですが、その瞳はいつでもやさしく輝いています。この役に必要なのは、相反する気持ちを表現する力です。昔の自分と今の自分、今を楽しむことと先を見据えた落ち着き、愛することと愛を諦めること。サムの瞳は、少年の瞳のようであるがゆえに、それらに素直に反応しているように見えました。役としては複雑な役どころでしたが、彼の魅力は伝わってきます。

「“本当”であれば交わらない2人」が教えてくれること

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サム演じるウィルは、成功しているビジネスマンで、美しい彼女もいて、素晴らしい家も持っている洗練された男性でした。一方、エミリア演じるルーは、カフェでの仕事で家族を養う手助けをしていたにも関わらず、カフェの閉店に伴い失業、狭い1つの家に家族がぎゅうぎゅうで暮らしている状態で、少し田舎っぽい女の子です。まさに正反対の2人。そのまま人生を送っていたら、きっと2人の人生が交わることがなかったでしょう。ウィルも初めてルーに会った時は、田舎娘をからかう程度で、興味はなさそうでした。ウィルの送ってきた人生からして、ルーを女性として見ることは、その慣習やプライドからしてなかったのかもしれません。もちろんルーも、いつも不機嫌なウィルに対して不満を持っている様子でした。しかし、2人の関係はだんだんと築き上げられていきます。ルーの献身的な態度が、徐々にウィルの心を溶かしていくのです。

「こうならなければ出会わない相手」。そう決めつけていたのはウィルだったのでしょう。「本当は自分はもっと上の立場の人間で、こんなやつとは一緒につるまない」そんな思いが、少なからずあったのではないかと思います。これはリアルな世界にも存在する感情で、そのプライドのようなもののせいで、新しい世界に馴染めないことがあります。例えば、学校でいつもと別のタイプの子と出会うきっかけがあった時や、職場で相手への偏見からうまくいかない時など、つい自分の意固地な部分のせいで、本当の魅力に気がつけないことがあるものです。

結果、ウィルはルーを愛してしまいます。相手のことに興味を持ち、ウィルはルーが観たことがない映画を教え、ルーはウィルの気持ちに寄り添い真剣に向き合ったことで、お互いの本当の魅力が見えてきたのです。偏見。偏った見え方は、例えるならば地面に埋まったシーソーのようなもの。片方に偏り過ぎると、自分の重みで自分自身が地中に埋まり、世界が見えなくなります。「“本当”であれば交わらない2人」の“本当”とは、何なのでしょうか?“今”が“本当”でなくして、何をそう呼ぶのでしょう。何事も向き合うことで、新しい世界が見えることを教えてくれます。

相手が抱える予想以上の悩みを知るということ

backlit beach clouds dark
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ルーは、ウィルが心を開いてくれていると思っていました。そして観ている私たちもそう思っていました。しかし、ウィルは心を開いたとしてもなお、今の状態で生きていく強さを持つことができませんでした。それを知ってしまった時の、ルーの落ち込みは計り知れません。それでもルーはできることをしようとしました。私たちは自分にできることしかできません。それが無意味か意味のあることか分からなくても、もしくは分かっていたとしても、私たちはそうするしかないのです。ルーが直面する事実は、とても重くとても辛いものだったに違いありません。でも、大切なのはルーがどうにかしたいと思って頑張ったことなのです。

相手が抱える悩みが、自分の想像をはるかに超えていたと知っても、諦めずに自分にできることをし続けた結果、ウィルの人生の最終章はきっと、幸福の瞬間も多いものだったに違いありません。結果を変えることができなくても、その過程に伝わるものはあるのです。ルーの強さはそこにありました。信じて突き進む。さらには、自分の望んだ未来がなかったとしても、それでも前に向かって進んで行くのです。進んで行かなくてはならないのです。

Women’sおまけポイント

【世界一キライなあなたに】はもともとがジョジョ・モイーズの【ミービフォアユー きみと選んだ明日】が原作となっています。英題は【Me Before You】直訳すると【あなたと出会う前の私】ですが、この英題にこそ大きな意味がある気がします。ウィルにとってのMe before Youは、素朴な娘の良さを知らないイケてる青年時代であり、ルーにとってのMe before Youは、人を愛することをまだ知らない無垢な少女時代でしょう。2人の人生が交わりましたが、ウィルにとっては、Me before You時代に戻りたい気持ちが強く、ルーは、Me before Youよりも、今ウィルと一緒の未来を強く願ったことでしょう。“Me before You”を手放せないウィルですが、きっと“Me and You”の時間が楽しかったこと、ルーと出会えたことも同じように大切な時間だったことでしょう。英題からは、もっと切なさが伝わってくる、そんな気がします。

kato

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