洋画【ヘルプ~心がつなぐストーリー~】心が綺麗なひとになるために観るべき映画

monochrome photo of couple holding hands ヒューマンドラマ
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Woman’s おすすめポイント

「どんな考え方ができる人が美しいか」「どんな考え方が人を醜くさせるのか」人種差別の問題を通してそんなことも考えさせられる映画です。心が美しい人は美しいと、昔の人はよく言ったものですが、偏見をしないで人のことを愛する気持ちを持てる人はやっぱり美しいのです。人種差別は、特に日本では、私たちと遠いところで行われているものとして捉えてしまいがちですが、この物語を観ていると、私たちのすぐそばにも“偏見”“差別”“仲間外れ”はあるのだと痛感します。そして、壮大なテーマとは裏腹に、整えられた住まい、美味しそうな手作りの料理、綺着飾った女性たちが映し出されたこのフィルムは、オールドファッションな暮らしぶりと雰囲気が可愛らしく、古き良き時代の美しさも伝えてくれます。

マイノリティに対する冷酷さは、人種問題と同じくらい深刻で人種問題以上に身近にあると伝えている

flat lay photography of white mug beside green leafed plants
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エマ・ストーン演じる主人公のスキータは、黒人が卑下されている状況に異議を唱えたい、珍しい若者でした。周りの同年代の女性たちは、上流階級の夫のところに嫁ぎ、メイドを抱え、自分たちはパーティーなどで楽しむ日々を送る中、男っ気もなく、キャリアを積みたいと思っている、この時代では異端児の役柄です。この物語は全体的に、人種的マイノリティとされてきた黒人のことを描いている映画ではありますが、いわば、スキータ自体もマイノリティであるのです。スキータのようなマイノリティである白人や、マイノリティに理解を示し始めている白人の存在も映されているこの作品から感じ取ることができるのは、人種問題を超えた、人としての尊厳についてです。

ジェシカ・チャステイン演じるシーリア・フットも、同年代の女性から毛嫌いされているマイノリティの1人です。街の女番長のようなブライス・ダラス・ハワード演じるヒリー・ホルブリックの、元カレと結婚したからと、彼女とその彼女の取り巻き立ちにより無視されています。彼女のことを無視し、パーティーに招き入れてあげないシーンは、いつも明るく鈍感なシーリアも傷つき涙を見せますが、このシーンには人種問題と同じように深刻で、人種問題以上に身近にある問題への気づきを与えてくれるでしょう。

恩を仇で返す人に、幸福は訪れない

woman in dress with child
Photo by Misha Voguel on Pexels.com

この時代、上流階級のほとんどが、黒人をメイドとして雇い、そのメイドに自分の子供の世話をさせていたようでした。自分の子供を世話させている親も、実の親には相手にされない時に面倒を見てもらった子供も、本当はメイドに対して感謝してもしきれないほどの恩があるはずです。しかし、そんな恩すらも、自分がマイノリティ化しそうになることを恐れて、仇で返す仕打ちをしてしまうシーンがありました。マイノリティを叩くヒリーの幼少期がどうであったかは明言はされていませんが、オクタヴィア・スペンサー演じるミニーがずっと仕えていたことを考えると、きっとお世話になっているはずですが、そんなミニーに対して思いやる気持ちがなく、それどころか痛めつける言動は、最低そのものでした。

ヒリーの悪態は、黒人のメイドに対してだけではありません。実の母親が自分の失態を笑ったことがきっかけで、母親を施設に入れてしまいます。この映画の見どころは、上述しているように、黒人への人種差別問題を取り入れながら、社会問題以前の、人としての在り方について切り込んでいる節が見受けられるところですが、後にヒリーは、恩を仇で返した人々に仕返しを食らうことになるのです。ヒリーの母が、ヒリーの幼少期どんなであったかは分かりませんが、この世に生んでくれた高齢の母親に対して、恩知らずな行動をとることと、マイノリティに対して横暴であることは、大した違いがないのです。

舞台になった1960年代のミシシッピ州とは

woman gazing at the ocean view
Photo by Sebastian Voortman on Pexels.com

舞台は1960年代のアメリカ南部に位置するミシシッピ州の首都ジャクソンですが、そのアメリカ南部は北部に比べると発達が遅く、考え方も遅れていたようです。もともとフランス・スペイン・イギリスの植民地として、アフリカ人奴隷がこの地に降り立ち、かつては自由有色人種として成功を納める者もいたようですが、その後、選挙権が取り上げられ、主な産業である農業も失敗に終わり土地を失うなど、厳しい環境が加速しました。土地を占めるアフリカ系の人たちの割合は、はじめは50%を超えていたにも関わらず、厳しい状況や差別から、北部に移住する人が増えたことなどから、ますますマイノリティ化してしまったようです。そんな背景がある場所だからこそ、黒人たちにとって、ミシシッピのジャクソンは暮らしづらい場所だったことでしょう。ちなみに、シーリアは貧民街出身だそうですが、この時代は貧困白人階級にも厳しい目が向けられていたようです。

(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%97_%E3%80%9C%E5%BF%83%E3%81%8C%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%90%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%9C)(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%82%B7%E3%83%83%E3%83%94%E5%B7%9E

どんなカテゴリにおいても“差別”は美しくない

background beautiful blossom calm waters
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【ヘルプ~心がつなぐストーリー~】を最後まで見て、ヒリー・ホルブリックを美しいと思えるでしょうか?ヒリー・ホルブリックは美人です。美人ですが、差別をすることに何の迷いもない彼女を、最後まで美人と言える人は少ないはずです。顔の造形は美しくとも、その言動に人としての魅力がなければ、愛される人にはなれないのです。アーナ・オライリー演じるエリザベスは、ヒリーに逆らうことができずに、ずっとヒリーの取り巻きをしていますが、スキーターが完全に孤立し始めた頃も、エリザベスはスキーターを気遣い、また、ヴィオラ・デイヴィス演じるアイビリーンが辞めることになる時も、意味深な涙を流しています。スキーターの母親であるアリソン・ジャネイ演じるシャーロットも、同様に立場に迷いがある人間でしたが、最終的にはスキーターの暴露本を応援することで、やっと立場を決めた役柄です。見て見ぬふりをしてしまう人が正当化されるのは、また別の話ですが、少なくともマイノリティに対して“マイノリティとして”ではなく、“その人”として情がある彼女らを、ヒリーを見る目よりも少し穏やかな目で見てしまうのです。この厳しい目こそが、美人を曇らせるのかもしれません。

Woman’s おまけポイント

group of people eating together
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さて、国際的な差別問題からは離れた、この作品の魅力についてお話しましょう。料理上手、家事上手なメイドたちが作る、クリーンな家と美味しそうな食事は、それだけ見れば本当に楽しい毎日になること間違いなしでしょう。映画が始まってすぐにアイビリーンが料理をしているシーンがありますが、その時にマスカットで飾り付けをしている、サラダでしょうか、その料理がとても美しく印象的で、そこからミニーのチョコパイや、ミニーのフライドチキンなどが次々に登場し、画面を彩ります。ミニーのフライドチキンは、作り方をシーリアに教えるシーンから、一緒に頬張るシーンまであり、思わず作って食べたくなること間違いなしです。いろいろな家庭の食卓が映りますが、大皿に綺麗に盛り付けられた料理が何皿もテーブルに並ぶだけで、豪華で幸せな気持ちになる食卓が作れるのですね。

kato

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